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2011年11月15日

お通し(MとY風)

最近読んでいる「MとY」風のネタを思いついたので書いてみる。

※MとY 二人の対談形式で漫才のようにネタを繰り広げるブログ…のようなもの。面白い



Y:もうすぐクリスマス。

M:ギリギリセーフかな。

Y:やっとバカにされなくなりました。

M:やっと?

Y:時代が僕に追いついてきた、とも言う。

M:年中浮かれてるのは、あんたと帽子屋くらいのもんだけどね。

Y:12月26日から言い続けて11ヶ月…長かった。

M:正確にはまだ11ヶ月はたってないけど。

Y:そろそろ予約しないと店がとれない。

M:ギリギリアウトかな。

Y:まぁ、予約はもうとれてるんだけど。

M:そう。

Y:忘年会の熾烈な戦いを潜り抜け、並み居る猛者をちぎってはなげちぎってはなげ…。

M:電話かけてたの。

Y:今日も朝から何件も。

M:仕事中じゃないの。

Y:コースとかバイキングっていいよね。値段をあとで割る手間が減るし。

M:そうだね。

Y:割り算はあまり好きじゃないんだ。生産的じゃないから。

M:あんた二次会まで行くんだから結局割り算するんだけどね。

Y:気がつけば深夜料金とか、チャージとか入ってたりして。

M:あるある

Y:注文する時に財布気にしてたのに、足りなくなったりして。

M:そもそも財布確認しないじゃない。

Y:泣く泣く上司に借りたりするわけですよ。

M:1000円しかもって無かったりしてね。

Y:まぁ大体そう言うと奢ってくれるんですが。

M:確信犯だね。

Y:でもお通しって要らないよね

M:美味しくいただけばいいじゃない。

Y:世の中の全ての人がキンピラゴボウとかクラゲだとかで喜ぶと思うな!

M:偏食だものね。

Y:どて煮の味噌も塩辛も敵だ!

M:あんたに合わせてたら、出すものなくなっちゃうもんね。

Y:お通しは12品から選べるようにすれば良い。

M:お通しって注文決まらなくてもすぐに出せるものでしょ。

Y:うん。

M:お通しどれにするか悩んじゃったら意味が無いんじゃない?

Y:そうしたら、お通しが決まるまでのお通しを用意。

M:それは一種類なわけね。

Y:いや、それも12品から選べるようにする。

M:そう。

Y:そうすると、お通しのお通しがなかなか選べない人が出てきて、お通しのお通しのお通しが・・・そしてお通しのお通しのお通しのお通しが出てきて…。

M:お腹が一杯になる。

Y:それだ!「お通しカフェ」

M:居酒屋でしょ。

Y:お通し居酒屋よりもカフェのほうが響きがいいじゃない。

M:そう。

Y:12品は無理にしても、もっと誰にでも受け入れられる料理にするべき。

M:今ので充分だと思うけど。

Y:学校とか、社員食堂と提携して、人気料理を調べる。

M:自分の店で充分だと思うけど。

Y:カレー、オムライス、ラーメンに牛丼、カレーうどん。

M:全部主食だね。

Y:大喜び。

M:あんただけね。

Y:お通し用に小さなオムライスを出せばいいと思う。

M:とりあえずビール、って言って、オムライスとビールが出てくるの?

Y:オムライスでビール飲めばいいじゃない。

M:無理。

Y:お通しオムカフェ。

M:カフェこだわるね。

Y:お通しオム居酒屋よりは良いと思うな。

M:やっぱりオムライスとビールは合わないと思うね。

Y:じゃあラーメンか牛丼にすればいいね。

M;まず主食を離れたほうが良いと思う。

Y:カウンターに座ると牛丼が出てくる。

M:とりあえずビール?

Y:で、お腹が膨れたから帰る。回転率も良くなるね。

M:吉野家で良いよね。それ。

Y:お通し牛丼カフェ「吉野家」

M:名前長くする必要無いよね。

Y:YOSHINOYA ~THE GYU^DON CAFE~

M:洋画のタイトルみたいになったね。

Y:「お通し」入れ忘れた。

M:入れなくて良いと思う。

Y:まぁ、とにかく、お通しは要らないってことで。

M:断れるらしいよ。

Y:え。

M:お通しって法的には断って、支払わなくても良いものらしいよ。

Y:そんな恐ろしいこと出来ません!

M:そう。

Y:まぁ、そういうわけで12月24日はオムライス屋さんの予約を取ったんだけどね。

M:お通しは無いね。

Y:お通しは無いね。

M:あんたの仕事場はオムライス屋さんで忘年会やるの?

Y:ん?

M:うちは24日に中華料理で忘年会だけど。

Y:……そう。

M:ん?

Y:おやすみ。

M:おやすみ。



うーん。まだまだ(´・ω・`)  

Posted by メリー at 00:29Comments(2)創作

2009年07月18日

【創作】向かいの窓

※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません

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  あつい……。

 梅雨があけてからというもの、毎日、死にそうに暑い日が続いている。
 どうして俺はこんな時間に外に居るんだ・・・。
 
 そう思いながらまだ長いタバコの火をもみ消す。
 少し吸えば十分…のわりに禁煙計画が一向に進まないのは
俺に危機感がないからか…仕事場のせいもあるかもしれない。
 ボトル型の灰皿に蓋をして、エアコンの室外機の上に置いた。
 仕事場じゃ吸わないとコミュニケーションし辛いし、珈琲を飲んで休憩するにも
自分の席では息が詰まる。
 毎日あしげくタバコ部屋に通うようになるってものだ。

 サッシをあけて部屋に入る。
 部屋の中はエアコンが効いていて、まるで別世界のようだ。
 家じゃタバコを吸うことで自分の肩身を狭くしている。
 これまた仕事場とは別世界のようだ。

 洗面所に行って、口をゆすぐ。
 そのまま液状歯磨きを口に含んでまた口をゆすぐ。
 
 べぇ、と口の中身を垂れ流していると、玄関先から大声で呼ばわる声が聞こえる。
 
 我ながらよくこの女性と結婚できたもんだ。と思う。
 


「スイカ貰ったから。冷蔵庫とお風呂場に運んで。」
 と言いながら玄関の扉を開け放つ。
 部屋の冷気が逃げる。

 つまり車から運ぶのも俺の仕事か。
 というか何個貰ってきたんだ、とツッコミを入れたくなる。

 
 合計三個。
 実家が近いせいかちょくちょく寄り道をしてはなにかを貰ってくる妻は
頼もしくもあり、ときおり面倒でもあった。

「こんなにどうすんだよ。」
 部屋のクーラーが全開にかけられている。
 俺はもう一枚シャツを羽織りなおした。
 二人の間にある、どうしても越えられない体感温度の壁…ってやつだ。

 一つは冷蔵庫。一つは水を張った風呂場。
 残りの一つは今半分に切っている。
「これは半分今日食べて、もう半分はおすそ分けでもすればいいでしょ。」
「これが今日食うぶんなら、風呂に浸してあるのはどうするんだよ? スイカ風呂はあんまり気が進まないんだけど。」
「あら、おじいちゃんはスイカ風呂は体にいいって」
 ウソつけ。
 わが妻ながら時折、本当にどうでもいいウソをつくもんだ、と思う。
 ウソでなくても大概俺の4倍は口が回る。
 結婚して一年目には、俺は街宣車と結婚したのかと考え込みもしたが、
 自分が話す量は他の相手に比べてずっと少なくても良いことに気がつくと、
意外と居心地が良いということがわかった。
 できれば俺の、間違えて結婚式用の真っ白なネクタイをして会社に行ったという
半年も前のネタを周りじゅうに触れて回るのはそろそろカンベンして欲しいところだが…。



「たかしは?」
 結局俺はスイカにかぶりついている。
 塩を振る派と振らない派が居るようだが、俺は断然振る派だ。
 スイカは野菜だと信じている。
『スイカが果物だ』というのは単価を上げるためのスイカ売りの罠だと思っている。
 バレンタインと同じだ。

「おじいちゃんちに泊まりたいって。 まぁ、二人も喜んでるみたいだしいいんじゃないの。」
 まぁ、正直ホっとした。
 まだこれから長い長い夏休みを一緒に過ごすことになる息子に対して
居なくてホっとするというのは問題かもしれないが、まぁ正直な感想だった。
 夏休み中で、俺が平日休みの時なんかは大概面倒を見ることになる。
 最初のうちこそ楽しく遊んでいるが、どうにも息子と親とではエネルギー効率が違うらしく、
だんだんと体力的にキツくなってくる。
 そしてキツくなって来た頃合に限って、突然出先でぱたりと寝付き、
最終的に一番重たい荷物になるのだ。 
 きっと、今年はまた一層重たい荷物になっているに違いないのだ。

 今年の夏はたかしと一緒にダイエットをしよう。
 スイカの種を放りながら考えていた。
 
 大概、思っただけでやったつもりになる、つもりダイエットなのだが。

「同じクラスのあっくんのおうちと、一緒にバーベキューに行こうって話覚えてる?
 あれ、8日になったから。」
「あぁ…。うん。」
 息子と仲が良い友達の親とは仲良くするもんだ。
 たとえそれが苦手な分野だったとしても。
 正直一度も会ったことも話したことも無いような相手と
「仲良くしなきゃいけない」という義務つきで顔をあわせなきゃいけない、なんて
考えるだけで面倒くさくなる所だったが、ここは子供のためだから仕方ない、と考えていた。
 


「それじゃ、私は行ってくるね。」
 妻は結局、風呂場にあったスイカを一個持って市外まで旅立つことになった。
 電話をして、有効活用してくれそうな友達を見つけたんだとニコニコとしていた。

 市外まで出かけるほどのことか?と思いはしたけれども、
ついでに大家族を持った友達と久しぶりに合って話も出来るし、とかいう
どっちが本題だかわからないようなことを言っていたので、止めはしないことにした。

 扉が閉まって、途端に部屋が静かになる。
 ゲームでも進めておくかな。
 夏休みに入ったたかしにずいぶん差をつけられているかもしれない。
 
 そんなことを思いつつ、またタバコをくわえてベランダへと出て行った。

 
 夕飯どきにはまだ間があるが、それでも最近できたマンションのおかげで既に日は当たらない。
 西日が当たらなくなったのは良いことだ。俺はマンションを建てた業者に心から感謝した。
 
 
 比較的過ごしやすくなったベランダでタバコをくゆらせていると、
向かいのアパートの部屋の窓がまた開いていて、中が見えているのに気がついた。

 あの部屋は時々、夫婦喧嘩をしているのが見える。
 普段は仲が良いようなのだが、喧嘩を始めるとヒートするタイプの夫婦らしく
声が聞こえてきそうな臨場感の光景がここからでも見える。

 つい一昨日の夜もなにやらやってたような気がする。

 もちろん俺だって覗きが趣味というわけじゃないし、
不審者にはなりたくないから、こうしてベランダのてすりに肘をついて
横目に確認するくらいしかしないが…。
 流石に・・・・・・あれだけハデにやっていれば気になる。

 今日は…何をしているのか。
 あれだけ窓が全開なんだからまぁ多少見ても差し支えないだろう…。
 自分に都合の良い解釈をしながらまた横目に視線を向けると、
奥さんが踏み台に登ってロフトの手すりにロープをくくりつけている。

 あのロフトはうちにもあるが、こんな家庭向けのアパートにロフトなんか着いていても
子供が登っても危ないばっかりで、最終的には物置になるんだよな…。
 まぁ、気に入ってこのアパートに決めたのは俺のほうが。

 それはさておき、なにやら珍しい光景につい顔を向けてちゃんと確認してしまう。

 彼女はそのロープに自分でぶら下がり、
ロフトの手すりが折れないこと、しっかり結べていること、
それからロープが頑丈であることを確認する。

 ひとしきり、確認を終えると、今度はロープの先を持って、輪を作り始める。
 縛って、うまくいかないのかまた解いては縛りなおし・・・それを繰り返している。

 
 これは、アレか。
 輪になった紐。ロフトからぶら下げる…。踏み台…。ときたら
 
 そこから首をくくってぶら下がるアレか…。
 
 タバコの灰がフィルターの直前まで灰になって足元に落ちた。
 

 いやいやいやいやいや
 
 これは、まずいだろう!
 俺は慌てて部屋に戻って、そのまま玄関先へと走り出していた。  続きを読む
Posted by メリー at 23:46Comments(2)創作

2009年05月25日

【創作】雨降って

※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません

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 定期的なワイパーの動きが、私の眠気を増幅している。
 ふわ…。
 あくびをすると隣の彼もまたあくびを返した。
「アクビって伝染るんだよな。」
 迷惑そうになにやらごにょごにょと噛み締めた後独り言のように言う。
 そうねー。と気の無い返事を返す私。
 
 新婦さんキレイだったねー。っていう話とか
あのイベント無いよねーっていう話とかはもう2時間前には尽きており…。
 明日はもう仕事なんて嫌だねーだとか
休みとってる連中羨ましいよなーとかいう話も1時間前には尽きており…。
 渋滞の道路の愚痴と、道を選んだ彼への文句はこれ以上言えばケンカになるほど言っており…。

「私たちもさー、結婚する時はあんなカンジなのかな。」
 そろそろこういう話題がのぼるのも、無理も無い話のはずだ、と自分に言い聞かせた。
 周りは雨。私も普段着ないようなキレイめワンピースだったのでしおらしく…するはずもなく、
ブランケットにくるまった足は既に靴を脱ぎ捨ててシートの上に体操座りのように立てられている。
 
「あんなカンジ?」
 どんなカンジだよ、と言いながらまたあくびをする。
 今のは私のせいじゃない。はずだ。

「決まってからはサクサク進んでアッという間ってこと。」
 そうだといいんだけど、という思いがこもっているのが伝わってるんだろうか。
 そもそももう何ヶ月も…ヘタすると一年以上もこの話をして無いような気がする。

「あー、その話か」
 その話かとはなんだ。失礼な。
 そろそろ焦りが出てもおかしくない年頃だって言うのに…。
男のほうは呑気なもんで…っていうのはやっぱり他で聞いた話と同じだ。
「オレはまた、ああいう盛大な会がいいってことかと思った。」
 そんなことは言ってない。
「前も言ったじゃん、私は会った事も無いような人と結婚式やら二次会で会ったって、
 何話していいかわかんないし疲れるだけだからイヤだって。」
「知ってるよ。」
 悪びれない声で言いながらペットボトルの蓋をあけようとするが、
運悪く前の車が走り出してしまったので諦めてホルダーに戻してハンドルを握りなおす。
「だってあんたわけのわかんない友達一杯いるし、同僚づきあいもやたら良いし、
 今年一年で何回私が付き合いで式やら二次会やら出てると思う?」
 懲りずに片手で蓋を開けようとする手からボトルを奪い取り、蓋を開けて押し付けてやる。

 そう、私は何故だか彼の友達やら同僚やらの結婚式や二次会にも出席させられている。
 呼ばれて居ないものには行かない、と私が言うのに、気がつけば彼の周りでも二人ワンセットに扱われているらしく
そのうち招待状が必要なものまで二人名義で来るようになった。

 そして彼は私が招待されるものにもやたらと来たがる。
 最近じゃ仲が良かった私の友達連中まで私達をセット扱いしている。
「お前ら、単品での付き合いのほうがずっと長かったくせにー。」と思いはするが
まぁ別段腹を立てるようなことでもないので放っておく。

 放っておけないのは経済問題だ。
 一リットル入りの牛乳瓶に溜めた補正予算のおかげで今年一杯はなんとかやりくりできそうだけれども
 このまま二人ぶんの招待状に応えていたら自分たちのぶんの資金なんか溜められそうにない。
 やっぱり、その気が無いんだろうか。

「そういえば、内田の子供今日熱出して寝込んでるんだって。」
 都合が悪くなると話をそらす。
 まったく…と思いつつペットボトルの蓋を閉めてやり
「そういえば今日は来てなかったねー。ちっちゃいほうの子は来てたけど。」
 仕方が無いので付き合ってやる。
「そうそう、だからビンゴカード一枚多く貰ってたんだな。あそこのうち3つも景品貰ってんだよ?」
「あー、でも一個はサランラップでしょ? 私笑ったもん。」
「お前ぐらいだって、アレで笑うのは。」
「そんなこと無いって、他にも笑ってたよ。あんたの後輩の、えっと…幸弘君だっけ、弘幸君だっけ。」
「今日居たのは直幸。」
「……。」
 お前ホント人の名前覚えるのニガテだな。というのはいつもの彼の台詞だ。
 車は動くようになったけれども、雨は相変わらず止みそうな気配も無い。

「でもさ、名前はともかく、もう結構顔は覚えたんじゃないか?」
「そりゃあね。 あんたの変わりに挨拶したりもしたしね。」
 皮肉を込めて言ってやる。
 この男、放っておくと近くに知り合いが居ても一日一言も声をかけないつもりなのだ。
 そしてまた車が動かなくなる。 今日はこの、動いたり動かなくなったりの繰り返しだ。
 
「じゃあそろそろ考えてもいいかな。」
 何の話だ。
 怪訝な顔を向ける私に彼はこっちを向く。
 そして『わかってないの?』『お前』『またまたー』とよくわからないムカつくジェスチャーを一通りした挙句に
「え? そりゃー『盛大な結婚式と二次会』の計画のつもりなんだけど。」
 
「……はぁー?」
 思わず甲高い声を挙げてしまう。
「何が『じゃあ』で何が『そろそろ』なの。」
 疑問よりも呆れが混ざったような声になりながら私も尋ねる。

「だってお前、顔も知らないようなヤツばっかりの会なんて楽しくないって言ってたじゃん。」
「当ったり前じゃん。そりゃ知ってたほうが楽しいし、だから自分の会で知らない人があんまり多いのはちょっと…って思うでしょ?」
 背もたれにぐでッと横になりなおしながら答えてやる。
 他の人はどうか知らないが、私の場合、せっかく自分のお祝いの会なのに自分の知らない人ばっかりだなんてのは気が乗らない。
 ただでさえ準備やらなにやらで疲れるのに、顔をあわせるのが赤の他人ばかりだなんて気が滅入るじゃないか。

「だからさ、知り合いになっておけば良いわけだ。」
「あー ……ってそれ、本当に?」
 一旦は頷きながらも思わず彼のほうをまじまじと見る。
「うん。」
 顔をあわせて頷いて返す。
 タイミング良くプッ、とクラクションを鳴らされて前を見ると、既に前方の車がだいぶ走り去っている。
 お互いに、慌てて前を向いた。
「そのために今までこういう会のたびに呼び出したの?」
「だってバーベキューとかお前嫌いだろ。」
 まぁ、確かに彼やその友達連中がやるやたらアウトドアな集まりは私には合いそうに無い。
 正直に『何が楽しいの?』って言って不評を買ったこともある。

「でもさ、……オレは盛大な会のほうがスキだからさ、出来ればみんなも呼びたいし。」
 前を向いたままぶちぶちといい始める。
 それでずっとムリ言って私を連れまわしてたってこと?
 それもまた、呆れるやらなにやら。

「別に良いけど…、あんた盛大な式なんて開けると思ってるの?」
「やっぱダメかな?」
 苦笑しながらこっちを振り向く。
「ダメじゃないけど……ずっと出席する側ばっかりだったから、そんな余裕無いよ?」
「…あー……。」
 ……やっぱり考えてなかった。
「やっぱ白いご飯だけでも会社に持って行ってね。それから水筒も。」
「はい。」
「『ラーメン食べ歩く会』を作るのは延期するって下山さんに言っておいてね。」
「はい。」
「あともう2年は今のパソコンと車でガマンしてね。壊れない限り。」
「はい。」
「来月の旅行も無しね。」
「はい。」
「ウソだよ。予約しちゃったし、行きたいでしょ?」
「…あー、良かった。」
 これで、しばらくは財布の紐を締めて置けそうだ。
 私が一人頷いていると
「……あのさ、わかってる?」
 と彼が声をかけてくる。
「ん?」
「オレ、今プロポーズしたことになってるんだけど……。」

 えー、雨降って地固まると申しましてー
 たしかこんなだったか、今日彼の上司がしゃべっていたのが
なんとなく、頭によみがえって来ていた。   
Posted by メリー at 21:21Comments(3)創作

2009年04月29日

【創作】カレーの皿

※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません
 なんだか思わず書いてしまったのでここに晒してみます。

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 私には、なにか現状に不満があったときに何かに没頭してしまう癖がある。
 中学校の時にボランティアで作ったお手玉は、
丁度重なった成績不振の影響で一心不乱に作った挙句、
先生に「これが一人ぶんか…」と恐れられた。
 時にそれは掃除であったり、勉強であったり
ビデオ鑑賞であったり…たまに、たいして出来もしない料理だったりもする。



 私はダンボールの箱を仮止めしていたガムテープを引っぺがす。
 そしてそのまま箱をあける。
 私はダンボールの箱の中から、新聞紙のかたまりを取り出す。
 ここ1ヶ月というもの、ダンボールのなかに放置してあったものだ。

 前の職場を立ち去る時に、深皿を新聞紙でぐるぐる巻きにして
それをダンボールにつめて運び、それ以来ずっと放置してあったものだ。
 今日は私はこだわりのオリジナルカレーを作る。
 それを盛るのに相応しい深皿を、こうして荷物の中から取り出しているところだ。


 前の職場を立ち去る時にはそりゃあもう慌しいものだった。
 その結果がこの乱雑につめられたダンボールの箱であり、
表面に書かれたマジックの「食器」の文字となっている。
 派遣先の都合と、派遣元の都合が合わなかったといえばその通りだが
上司のほうで勝手に決められた一件は私たち下っ端には告げられず
派遣先の社員のかたも、私自身も異動すること自体が寝耳に水、という状態だった。

 慌てて仕事を引き継ぎ、終わらせ、その週末にはもう荷物をまとめて引越し…
同僚たちは引越しを率先して手伝ってくれた。 とても感謝している。
 だけど、それだけだった。
 たとえば、一緒に抜けることになった男は、女の子から「これ使ってくださーい。」なんて
なにやら物を貰ったりだとか、それが縁で付き合ってみたりだとか
そんな話もあるとか無いとか聞いたような気もするけれども。
 私の場合には当然何もないし、「時間が無かった」ということで送別会も流れてしまった。

 べつに、ひがんでいるわけじゃない…はずだ。
 私は彼らとは表面上はかなりうまくやっていた。
 仕事の上で腹が立てば文句の一つも言ったが、
おたがいいがみ合ったりすることもなく仕事をこなしていたはずだ。

 しかし私は用事や話の種がなければメールもしないだろうし、ましてや電話をすることも無い。
 もちろん今更わざとらしく用事を作ったりも出来ない。
 そしてたいがい、相手もこちらが連絡したくないんだろうな、というのを察知していて向こうからは何もしてこない。

 だから「あぁ、もう連絡することも無いだろうな。」とそう思ってしまっただけだった。
 そうやって何事も無く日々は過ぎていって
こうやってカレーを作りたくなった時にまた改めて思い出すのだ。


 きっと新しい土地や新しい職場でも、こうやってたいした縁も無いまま過ごして
またいつか居なくなってここでも自分は忘れられるんじゃないか
そう思ったら、今の仕事場もつまらない物のように思えてきた。



「あれ?」
 おかしい。
 新聞紙のかたまりの数を確認する。
 茶碗が一つ、どんぶりが二つ、小鉢が一つ、おわんが一つ
茶碗と小鉢とおわんは、一つずつ封を切って今使っているから、一つずつ残っているのは問題ない。
 うちは、一人暮らしを始める時に食器を全て二つずつのセットで用意したのだ。
 だけどコップと深皿は違う、
コップは好きで増やしてしまったし、深皿の一枚は前に手を滑らせて真っ二つに割れているはずだ。
 じゃあこの「深皿っぽい新聞紙のかたまり」が二つあるのはどういうことだろう?


 私は思わず手に取っていた新聞紙の塊から手を離した。
 じゅうたんのうえにころん、と落ちる。
 これは…何だ?
記憶を探ってみる。
 ダンボールの表面にはちゃんと「食器」と書いてある。
 我が家にあるものでこの箱に収まりそうなものはやはり食器以外にありえない。

 ダンボールに入っている紙を取り出してみる。

・茶わん×2
・どんぶり×2
・コップ×5
・小ばち×2
・キュウス×2
・おわん×2
・箸×2
・深皿×1

 椀や急須が書けなかったわりに、箸はちゃんと書くことが出来たようだ。

 いや、問題はそこじゃない。
ちゃんと深皿は1になっているのだ。
 だとすれば、この二つのうちのどちらかは我が家の深皿ではないことになる。

 気味が悪い。

 これはどうすればいいんだろう。
 私は、前の職場の同僚から嫌われていただろうか…
いや、うまくやっていたはずだ。
 余計なことが頭をよぎる。
 なにか変なものを入れられてないだろうか
それとも、私が記憶に無いだけで、もう一枚深皿を買っていたんだろうか…。
 前に靴下を買って帰ったときに、まったく同じ靴下が家にたくさん余っていたことがある。
 いや、むしろそんなエピソードがあればかえって覚えているはずだ。

 私が頭を悩ませていると、どこからともなく音が聞こえた。

 部屋の中はほぼ無音だ。

 そういえばテレビもつけていないことに気が付いた。
 そんな中で、何かがカチカチと音を立てている。

 耳をすませると、私がじゅうたんの上に転がしたほうの、新聞紙のかたまりから音がしている。

 私はかっとなった。
 なんなんだこれは。
 嫌がらせなのか、
それとも度忘れなのか、
はたまた怪奇現象なのか
もう考えるのも面倒くさい! むしろ考えたくも無い!
そう思いつつ頭の片隅では「あぁ、私は推理小説の探偵にはなれそうも無いな。」と思っていた。
 冷静沈着で論理的、たちどころに結論を導き出して、理にかなった行動をする。
私はそんな探偵にはなれそうも無い。
 なぜなら、私の手は既に この忌々しい新聞紙を剥ぎ取りにかかっていたからだった。


「おつかれさま。」
 最初に目に飛び込んできたのはその文字だった。
 バカにされたのかと思ったが、その下には「体に気をつけて頑張ってください。」
「毎日しっかり寝ること!」「次の仕事場でも頑張ってください」
そんな文字がいたるところに書き記された皿…しかしただの皿じゃない。
 皿の真ん中には穴が開いていてそこから棒が突き出して短い針と長い針がその上をぐるぐると…
まぁ要するに壁掛け時計になっている皿だった。

 さすがにこの上にカレーライスを盛ることは出来ないが
一応謎は解けた。
 多少のサプライズを期待して、あの時手伝ってくれた誰かがこっそりと私の荷物の中にこれを隠したのだ。
寄せ書きまでしてあるところを見ると同僚たちはみんな共犯のようだ。
 私はまんまと気付かず。
今更こんなところで一人慌てたり迷ったりとばたばたしているのだった。

「あいつら……。」
 私は、拳を振るわせた。
 抗議してやる。

 メールなんかじゃ生ぬるい。
 電話をして、時間があるなら顔を出させて説教をしてやろう。
 私の頭は相手に言ってやることでいっぱいになっていて、
カレーのことは、既にどこかへ消え去っていた。

  
Posted by メリー at 18:55Comments(4)創作